2015/02/13

With or Without You - U2 歌詞と和訳とちょっとした解説

今回は、映画『ソロモンの偽証』のテーマソングとして利用されることとなったU2の"With or Without You"を訳してみたいと思います。U2の楽曲が日本映画に提供されるのは初めてということで、日本のマーケットに与える影響も気になるところです。
 




See the stone set in your eyes
See the thorn twist in your side
I'll wait for you

瞳の中にある石を見るんだ
傍らで揺れる茨を見るんだ
俺はお前を待つさ
Sleight of hand and twist of fate
On a bed of nails she makes me wait
And I wait without you
With or without you
With or without you

策略と運命の揺れ
針のむしろで彼女は俺を待たせ
俺はお前なしで待つのさ
共にいようとも 共にいなくとも
共にいようとも 共にいなくとも
Through the storm we reach the shore
You gave it all but I want more
And I'm waiting for you
With or without you
With or without you
I can't live
With or without you

嵐を越えて岸にたどり着いて
お前は全てを与えてくれたが 俺は満たされない
そして俺はお前を待ち続ける
共にいようとも 共にいなくとも
共にいようとも 共にいなくとも
もう生きてはゆけない
共にいようとも 共にいなくとも
And you give yourself away
And you give yourself away
And you give
And you give
And you give yourself away

そしてお前は捧げるんだ
My hands are tied, my body bruised
She's got me with
Nothing to win and
Nothing left to lose

この手は固定され、体は痛めつけられ
彼女は俺が勝つために何も与えてくれないし
失うものも何も残してはくれない
And you give yourself away
And you give yourself away
And you give
And you give
And you give yourself away
そしてお前は捧げるんだ

With or without you
With or without you
I can't live
With or without you

共にいようともいなくとも
もう生きてはいけないんだ

With or without you
With or without you
I can't live
With or without you

With or without you

Ooooooooo
Ooooooooo
Ooooooooo

With or without you
With or without you
I can't live
With or without you

With or without you

Uuuu
Uuuu


楽曲"With or Without You"は、U2の3枚目のアルバム"The Joshua Tree"からのシングル曲として1987年にリリースされました。

それまではUKアイルランドローカルのロックバンドだったU2でしたが、"The Joshua Tree"はワールドワイドで2500万枚を売り上げる程の商業的な大成功となり、世界的なアーティストへと上り詰めてゆきます。"With or Without You"も同様、ワールドワイドの音楽シーンにも大きな影響力があるUSビルボードで、U2初となるシングル1位を獲得しました。


歌詞を表面的に見ていくと単なる波乱含みのラブソングですが、ボノが敬虔なクリスチャンであることから、宗教的な文脈による解釈も多くなされており、"I can't live with or without you"の you がJesus (キリスト)であると考えている人も多いようです。

ただ、"And you give yourself away"について、『U2として世間の目に晒されることについて、自分自身やバンドがどう感じているかってことなんだ』とボノがコメントを残しており、バンドのフロントマンであるボノが、自身の苦悩を表現した歌であることを明らかにしています。

また、後年本人によるさらに詳しい楽曲の解説がなされており、


『歌詞については純粋な苦悩を表現した。それはアーティストとして生きる自分と、愛するものをもつ男として生きる自分の対立なんだ。』

と語られています。


『例えば誰かに会って、それがデートをしたいような相手だとして、でも俺は結婚してるからそんなことは出来ない。それでセックスなんてもっとありえない。

だがそんな飼い慣らされた獣みたいな人生を送って、そのまま子供を持って所帯じみた生活をして、それが本当にアーティストだと言えるのか。それとも家庭を裏切るのか?俺にとってはとても難しい問題だった。

その二つの人格は同居していて、責任感ある保守的で忠実な自分と、ブラブラしてて怠け者で責任から逃れたがっている自分がいたんだ。

それは俺自身を壊すことになると考えていたんだけど、実際は俺は俺でしかなくて、結局そのどちらも含めてアーティストとしての俺が成り立っていた。

つまり矛盾する二つの中央に居るのが俺だったんだ。』


"with or without you"という言葉は、ミュージシャンである自分と一人の男としての自分の相克による葛藤を託して吐き出した、ボノの叫びのようです。


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